
●流通規制について |
Q.流通規制よりも、カメを捨てさせない教育が大事では? |
Q.特定外来生物に指定すると、飼育個体が野外に投棄されるので逆効果では? |
Q.輸入規制をすると代替種(代用品)の輸入が増えるから、いたちごっこでは? |
Q.流通が規制されて闇ルートで販売されるようになったら逆効果では? |
→防除活動が行われている個々の水域では、根絶や低密度化を達成している場所があります。水域ごとに目標(管理状態レベル、達成年)を定め、現実的に取り組んでいくことが大切です。
→ある一瞬だけ見れば、確かにアカミミガメと在来種は一緒にいます。これは長期的に見ると、在来種にとっては不利益しかない一方的な関係性で、共存とは呼べません。天敵や寄生生物のいない新天地に放たれたアカミミガメは、個体数を増やし、生物多様性を脅かしています。だから各地の自治体、NPO、研究者等が危機感を持って対策に取り組んでいます。
→そうです。問題の原因を作った人間が、問題を放置せず、責任を持って防除活動を行うのです。アカミミガメそのものは悪ではありませんが、生態系に害があるので防除しています。
→アカミミガメによる影響は、在来カメに対する影響のほか、水草やハスへの被害、水生動物や水鳥のヒナを食うこと、その水域からアカミミガメが拡散していくリスクなどがあります。今は在来種が乏しくても、その場所なりの自然の再生を目指してほしいと思います。
→流通規制は新たな外来種を生み出さないため、防除は今いる外来種をいなくするためで、どちらも必要です。政府はアカミミガメの流通規制の検討を始めています。多くのNPOや研究者などが防除を行いながら、流通規制が実現するのを待っています。
→捕獲したアカミミガメを飼育や譲渡する活動を行うとなれば、捕獲作業に充てる時間と費用が少なくなります。防除は、アカミミガメの増殖力を凌駕する捕獲圧をかけないと成功しません。捕獲圧が少ない「間引き」になると、アカミミガメを持続的に捕獲して飼育希望者へ斡旋する活動に陥ってしまいます。
防除の目的は生物多様性の保全回復であり、ペットとしての愛護ではありません。捕獲したアカミミガメをすべて飼うように要望されると、収容スペースや里親を確保できた分しかカメを捕獲できなくなるのでご勘弁ください。防除を行う人の多くは飼育する方策を探っており、すでに飼育可能な頭数に達しているのです。
カメの終生飼養や里親探しを行う信頼できる団体があれば連携できる可能性はあります。これについては、殺処分しないことにこだわって無責任な保管や斡旋をしていないか、譲渡先の管理システムは適切か、よく確認する必要があります。
→食用、飼料、肥料として販売することは、技術的には可能ですがコスト面で困難です。アカミミガメ製品は、大量生産できる他の製品と比べると高価になってしまい、圧倒的に不利です。採算を重視しない有効利用や学習として行うのがよいでしょう。
→アカミミガメ問題は、輸入・販売業を保護しながら、消費者の道徳心に頼って解決できる問題ではありません。教育は大事ですが、それだけで規制と同等の効果は達成できません。流通規制は、20XX年から輸入・販売を規制すると決まれば流通量が激減し、効果てきめんです。
→アカミミガメ問題の解決に即効性・実効性のある方法は、特定外来生物に指定して輸入・販売・新たな飼育を規制することです。「規制されると飼えなくなる」「捨てガメが増える」という主張や報道は、「早く捨ててしまおう!」という考えを促進しかねません。専門家や報道機関には、すでに飼育している個体は手続きをすれば飼い続けられるという事実を周知し、むやみに不安を煽らない責任ある情報発信が期待されます。
こうした手を尽くしても、捨てガメを完璧に防止できるわけではありません。しかし防除活動に携わっている人は、この先もアカミミガメの大量輸入・大量投棄が続き、防除活動が永遠に終わらないことの方を憂慮しているのです。
→さまざまな種類のカメが輸入されている中でアカミミガメが問題になっているのは、安価なので気軽に買って手放してしまう量が多いからです。この安さはカメ商品の中で突出しており、例えば代替種の候補と言われるミシシッピチズガメの価格はこの4倍(現在はアカミミガメの価格が上がったため2倍程度)です。これらの2000円ランクのカメが、アカミミガメ同様に大量に投棄されて全国に蔓延するのかは疑問です。
アカミミガメは1960年代に企業が実施したプロモーションによって人気を博し、誰もが知るペット動物になった経緯があります。「第二のアカミミガメ」が誕生するのは、そう簡単ではないように思われます。それでも代替種の誕生を予防するとしたら、代替種になる可能性が高い種や近縁種を同時に特定外来生物に指定する方法があります。
→アカミミガメ問題が起こったひとつの要因は、本種が大量・安価に流通しているために、飼育について深く考えずに安易に入手してしまい、飼育放棄につながりやすかったことです。大勢の消費者が安いからなんとなくこのカメを購入するとか、景品などでもらってしまう状況をなくすことが重要です。
![]() ![]() ![]() 1.アカミミガメ問題とその現状 ・アカミミガメとは ・アカミミガメが引き起こす問題 ・各国の定着状況 ![]() ![]() ![]() 2.わたしたちの取り組み ・カメ類の生息調査、 外来カメ類の駆除 ・普及啓発 ・政策、提言 ・取り組みを広げる ![]() ![]() 3.わたしたちの提言 ・輸入、販売などを規制する ・防除を広げる ・全国に拡がるアカミミガメ防除 ![]() | |
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