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3.わたしたちの提言

アカミミガメのいる風景

 すでにこれだけたくさんのアカミミガメが野外にいるのだから、いまさら駆除や規制をやっても手遅れだ、という人がいます。
 でも、諦めるのはまだ早いです。当会は水辺の生物多様性を保全回復するために、全国で活動しているなかまと連携しながらアカミミガメ問題の解決に取り組んでいます。


1.輸入、販売などを規制する

 市場にはさまざまな生きものがペットとして流通しているのに、アカミミガメの遺棄が問題視されるのは、このカメが安価で大量に販売されているからです。多くの人たちがアカミミガメを安易に購入してしまい、飼育放棄につながっていると考えられています。
 2013年9月に施行された改正動物愛護管理法において、販売者は購入者に現物確認と対面説明を行うことが義務化されました(第21条4)。また、ペットのカメを遺棄した人には、100万円以下の罰金が科せられます(第44条)。

 しかし、野外に蔓延したアカミミガメの現状とその被害の様子を見ると、この問題の解決において今もっとも有効な対策は、アカミミガメの輸入・販売・飼育を禁止することであると私たちは考えています。これ以上、アカミミガメの野外への遺棄や蔓延を防ぐには、何はともあれ輸入の蛇口を閉めることが先決であると考えます。
 そうしたなか、2013年、環境省はついにアカミミガメを外来生物法の特定外来生物に指定する方向で検討を始めることを発表しました(※1)。特定外来生物に指定されると、本種の輸入や販売が禁止され、新たな飼育もできなくなります(※2)。当会ではこうした環境省の方針を強く支持します。
 また、2013年10月に環境省で開催された「侵略的外来種リストおよび外来種被害防止行動計画に関するNPO/NGO意見交換会」では、この問題を含め、2020年までに国が行う外来種被害の総合対策について、当会が意見発表を行いました(※3)

(※1)環境省 外来種被害防止行動計画 2015年3月公表
(※2)現在飼っている個体については、特定外来生物に指定された後であっても、手続きをすれば飼い続けることができます。
(※3)侵略的外来種リスト・外来種被害防止行動計画会議 生態工房の意見発表(pdf)





2.防除を広げる
 流通規制の実現と同じぐらい重要なのが、いま野外にいるアカミミガメを防除して減らすことです。
 現在、当会の活動地を含めてアカミミガメの防除している水辺は全国に10ヶ所以上あります。このほか、ため池のかいぼりに合わせてアカミミガメを一斉に駆除したり、外来魚を防除する活動で混獲されたアカミミガメを地道に駆除するという取り組みも行われています。
兵庫県寺田池でのかいぼりの様子
▲兵庫県寺田池でのかいぼりの様子
(写真提供・和亀保護の会)

 しかし、日本各地でアカミミガメのいない池や川を取り戻すためには、防除の取り組みをもっともっと拡げていかなければなりません。わたしたちは、多くの水域の管理者である国や自治体が、今後積極的に防除に取り組むことを期待します。また、防除をしたい民間団体に技術的・情報面でサポートし、防除の取り組みを拡げていきます。

  兵庫県寺田池でのかいぼりの様子
▲かいぼりで水が抜けた後の寺田池。黒いシルエットが全てカメ。
(写真提供・和亀保護の会)





◇全国に拡がるアカミミガメ防除
 アカミミガメの防除に継続的に取り組んでいる団体と主な活動場所を一覧にしました。ここには調査研究を中心に取り組んでいる団体や、主にカミツキガメなどの他の外来カメに取り組んでいる団体も含まれます(2019年 生態工房調べ)。このほか、池の排水工事に合わせてアカミミガメを捕ったり、外来魚防除の際に混獲されたアカミミガメを駆除している団体や自治体等はたくさんあります(参照:新聞報道)。





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