生態工房とは活動について参加する支援する
市民活動のための調査実習
 環境保全活動の現場では、しばしば野生生物を調査する必要が生じます。しかし、博物館等の一部の研究機関を除くと、市民が調査技能を学べる場は非常に限られています。保全活動を牽引できる市民調査員が不足している現状では、市民活動がデータに基づいた客観的で説得力のある主張をすることは、容易ではありません。
 当工房では、保全活動の現場で活躍できる、野外調査技術を持った市民を養成するために、2004年度から実践的な調査実習プログラムを開始しました。
 これまでに「鳥類調査・初級編 〜個体数推定法〜」を開催しています。

◆実習の特徴
クロガモのカウント  本実習は、終了後に参加者がそれぞれの現場で調査活動を行うことを想定し、実践的なプログラムを組んでいます。

 実習では、「なぜその技法を使うのか」ということから理解するために、ひとつひとつの説明に十分な時間をとっています。そうは言っても、便利なテクニックがほしいのもまた事実ですから、それは理論を学んだ上で紹介します。便利な知識だけを断片的に知っていても、実践で適用できるとは限らない、と考えているからです。
 同様に、野外で鳥類のデータを集める実技にも時間をかけます。あらかじめ架空のデータを用意しておいて、料理番組のように「はい、これがデータです」と進めることは可能です。そうすれば、時間的に隙のない、密度の濃いプログラムになります。しかし、実際に野外でデータを集める場合には、険しい地形で調査が難航したり、鳥類があまり出現しなかったりと、思うように進まないことがあるものです。そういった困難さも含めて体験する、時間的な「あそび」をできるだけ残しています。
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◆主な内容
【2005年2月開催分の例】
 ・調査概論
 ・調査計画
 ・定量観測
 ・統計の考え方
   統計の基礎
   個体数推定の練習
 ・フィールドの計測
・鳥類の識別
・個体数調査の実践
  鳥類の観測
  データの整理
  個体数推定
・調査の総括
  データの活用
  データの管理

調査計画の作成, パソコンを用いた統計実技
タンチョウのカウント

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◆実習フィールド
キナシベツ湿原(北海道音別町)周辺の森林原野、海辺、集落など

キナシベツのカラマツ林
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◆開催実績
2005年2月 北海道白糠郡音別町・十勝郡浦幌町
         (鳥類上級編・2回開催)
2006年3月 北海道釧路市音別町・白糠町
         (鳥類上級編・1回開催)
2006年10月 東京都練馬区(植生初級編・1回開催)
2006年11月 山梨県富士吉田市(ほ乳類初級編前編)
2006年12月 東京都武蔵野市
         (ほ乳類初級編後編・1回開催)
2007年2月 北海道釧路市音別町・白糠町
         (鳥類初級編・1回開催)

※2004〜2006年度
:(独)環境再生保全機構「地球環境基金」助成事業
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