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外来生物防除
生物多様性を脅かす要因

 人間によって本来の分布域から移動させられて野外に生息するようになった生物を外来生物と言います。
 外来生物は、海外由来のものに限りません。もともと日本に生息していた生物であっても、自然分布域を超えて人が国内の他の地域へ持ち込んだ場合には外来生物となります。


 ブルーギル
▲防除作業で捕獲したブルーギル
 外来生物のなかには、持ち込まれた地域の生態系に悪影響を及ぼし、さらに農林水産業や市民の生活に被害を及ぼしているものがいます。
 2010年に公表された「生物多様性総合評価報告書」は、人間活動にともなう生物多様性の損失が今も続いているとしています。さらに、生物多様性の損失に関わる大きな要因の1つとして、侵略的外来種の影響が顕著であると指摘しています。

環境省 生物多様性に迫る危機
環境省 生物多様性総合評価における外来生物法の評価について


2020年までの目標
 2012年に閣議決定された「生物多様性国家戦略2012-2020」では、我が国の外来種対策として次のような考え方が示されています。

 (本文より抜粋)
・既に定着している外来種については、定着初期・分布拡大期・まん延期の各段階に応じた対策を優先度に基づき、科学的知見や費用対効果も踏まえて、根絶や封じ込め等の各目標に向けて、計画的・効率的に進めていくこと
・定着初期のものについては、被害が顕在化する前に、早期に防除を行うことが効果的である
・地域住民や関係者に理解と協力を求め、連携して対策を進めることが求められる

 2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、2020年までに生物多様性の損失を止めるために、効果的かつ緊急な行動を実施するとして20の目標が採択されました(愛知目標)。目標の1つ「外来種」では、「2020年までに、侵略的外来種とその定着経路が特定され、優先順位付られ、優先度の高い種が制御され又は根絶される。また、侵略的外来種の導入又は定着を防止するために定着経路を管理するための対策が講じられる」と定められています。外来種対策は我が国だけではなく、国際的な行動目標として重視されています。

環境省 生物多様性国家戦略
環境省 外来生物法
国立環境研究所 侵入生物データベース
滋賀県立琵琶湖博物館 電子図鑑 外来生物
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これは人間の問題

外来生物と呼ばれる生物は、本来の生息地では地域の生態系にとって欠かせない在来生物です。しかし、その生物が人によって別の地域へ運ばれると、導入された地域の在来生物や生態系を脅かしたり、農林水産業や人の生活に被害を及ぼす厄介者になってしまいます。外来生物問題を引き起こしたのは、生物ではなく、人間なのです。
  外来生物のなかには、持ち込まれた地域に定着し、彼ら自身の移動能力と繁殖力で分布を拡大しているものがいます。農林水産業やペットとして利用され、現在も輸入や拡散が続いているものもいます。駆除される外来生物、外来生物によって生息を脅かされる在来生物、産業や生活の被害を受ける人々。これらのすべては、人間活動がもたらした不幸な被害者です。
 いま野外にいる外来生物や、社会における外来生物の諸問題を放置していれば、被害がさらに拡大していくでしょう。このような被害を最小化するために、外来生物問題は可能な限り短期間で解決するべきです。そのために、わたしたちは市民の皆さんと一緒に、他の団体や行政と連携しながら、次のような取り組みを行っています。
▲野外で捕獲されたミシシッピアカミミガメ
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駆除・繁殖抑制

▲池に入りワナを回収する
  外来生物を駆除したり、繁殖を阻害して、地域本来の生物多様性を回復させます。
 わたしたちは、目の前に外来生物を見つけたら叩きつぶすという方針ではありません。特に侵略的外来種を優先的に対処しています。駆除の目標を根絶とするか低密度管理とするか、地域ごとに現状を把握し、主体(体制)、プロセス、方法、資金等を考慮しながら、目標を実現するために有効な計画防除を実施しています。
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普及啓発


▲外来種展示を通しての市民への普及啓発
 外来生物が持ち込まれる状況は、釣り目的の違法放流、ペットを捨てる、逃げられるなどさまざまです。こうした行為が外来生物による被害を生み出し、その対策に多大な費用と時間、生物の生命が失われていることを多くの人に伝え、この問題の重要性を社会に広めています。

 わたしたちの普及啓発活動は、「外来生物は悪者だ」「駆除される外来生物もかわいそうだ」といった観念を広めるものではなく、現状の問題とその原因、そして被害を示し、その場所に本来あるべき自然(将来像)と、それを取り戻すための選択肢を提案します。市民が外来生物問題を認知し、正しい知識と適切な理解によって課題解決に協力していくのが普及啓発の目的です。

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防除の展開

 わたしたち自身が直接現場へ出かけて活動できる地域や労力は限られています。しかし、今よりももっとたくさんの地域で市民やNPO、地方自治体などが防除に取り組んだり、防除を行う団体に協力していかなければ、外来生物問題を早期に解決することはできません。そして、外来生物対策は、よりよい方法を取り入れながら、効率的・効果的に進めていくことが肝要です。
 そのために、わたしたちは活動から得られた知見や情報を、出版物や学会発表を通して積極的に公開しています。また、防除に関わる人たちとの連携やネットワークを整備し、これらの人たちによる情報発信を促進して有益な情報共有を図っています。

▲2012年に行われた第14回日本カメ会議

・生態工房調査研究報告集の発行
・過去5年の外来生物関連の学会・シンポジウム等の発表、寄稿
・淡水ガメ情報交換会の開催
・メーリングリストの運営(ゼニガメール)
 このほか、駆除や普及啓発の技術を有する人を育て、外来生物対策に貢献する人材を増やしています。具体的には、防除テキストの発行や講習会を開催し、そこに集まった人たちに駆除の技術や方法、計画づくりのノウハウを普及して、各地における防除の取り組みを促進しています。また、外来生物問題を解説する市民ボランティアを養成し、様々な場所で人による普及啓発の機会を広げています。

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政策提言

 市民やNPOなどの民間団体が防除を進めるには、国や地方自治体からの協力や支援が欠かせません。これは資金や施設提供といった直接支援に限らず、関連する法律・条例、生物多様性地域戦略の策定、防除を実施するための捕獲許可など、防除を後押しする制度や環境整備などの間接的な支援も重要です。
 こうした行政による制度や環境整備に関して、わたしたちは積極的に意見や提案を出しています。これらの提言は、わたしたちの単なる理想や利益を主張するものではありません。最適な課題解決を目指して、市民や関係するNPO、研究者などと連携しながら、建設的な提案を行っています。

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